税理士事務所のホームページで料金を調べると、「月額○円〜」「料金はお問い合わせください」といった案内を見かけます。
しかし、税理士を探しているお客様が知りたいのは、最も安い料金とは限りません。
自分の会社なら年間いくらかかり、その料金で何をしてもらえるのか。
そこが分からなければ、予算に合うのか判断できず、問い合わせをためらう原因になります。
今回は、実際の税理士事務所の料金ページを調査し、どのような見せ方ならお客様が納得して問い合わせできるのかを比較しました。
料金の見せ方で、見込み客の印象はどう変わる?
税理士事務所の料金案内には、さまざまな掲載方法があります。
同じ料金を案内していても、見せ方によってお客様が受ける印象は変わります。
| 料金の見せ方 | 表示例 | 見込み客の率直な気持ち |
| 料金非公開・要見積もり | 「料金はお問い合わせください」 | 「いったいいくらになるんだろう? 予算に合うかも分からないのは不安だな」 |
| 最低料金のみ | 月額10,000円〜 | 「最低○円からなのは分かった。でも実際はもっと高くなるんでしょ? 自分の場合はいくら?」 |
| 月額料金+各種料金表 | 顧問料:月額20,000円 決算料:120,000円 年末調整:20,000円 | 「項目ごとの料金は分かるけど、全部合わせると年間いくらになるの?」 |
| 年間総額を掲載 | 年間360,000円 | 「年間の予算は考えやすい。でも、この金額で何をしてもらえるんだろう?」 |
| 具体的な契約事例を掲載 | 年商3,000万円 年4回面談 年間600,000円 | 「うちと規模が近い会社だ。この条件でこの金額なら参考になるな」 |
| 料金シミュレーター | 年商・面談回数などを入力して概算を表示 | 「自分の会社の条件で概算を確認できるのは便利だな」 |
※上記は料金ページの調査を踏まえた顧客視点の分析です。金額は架空のものです。
特に注意したいのが、「月額○円〜」という最低料金だけを強調する見せ方です。
例えば「月額1万円〜」という案内を見て問い合わせたものの、実際の見積もりは月額5万円で、さらに決算料が別途必要だと分かった場合。
「そんなに高くなるなら、最初から書いておいてほしかった」
「わざわざ時間を使って相談したのに……」
という不満につながります。

最低料金だけを見て問い合わせた結果、実際の見積額との間に大きなギャップが生まれてしまう。
これは、お客様にとっても税理士事務所にとっても避けたい状況です。
4つの事例で見る、料金案内の違い
今回の調査では、料金を単純に一覧表示するだけでなく、年間総額や契約事例、サービス内容まで工夫して伝えている事務所がありました。
特に参考になった事例を紹介します。
※以下は実際に調査した税理士事務所の料金案内をもとに、金額や契約条件などを一部変更しています。
A事務所|年間総額を自分で計算する料金表
A税理士事務所では、法人向けの月契約プランについて、次のような形で料金を掲載していました。
| 月額顧問料 | 20,000円〜 |
| 決算料 | 月額顧問料の6か月分 |
| 年末調整料 | 月額顧問料の1か月分 |
| 法定調書・償却資産税 | 月額顧問料の1か月分 |
料金の算出方法を公開している点は良いと思います。
ただし、月額20,000円の場合、年間でいくらになるのかは自分で計算しなければなりません。
実際に計算すると、月額顧問料24万円、決算料12万円、その他4万円で、年間40万円になります。消費税申告は別途見積もりです。
B事務所|年間総額が一目で分かる料金表
一方、B税理士事務所では、売上規模ごとに月額顧問料・決算料・年間合計を一つの表にまとめています。
例えば、年間売上1,000万円〜3,000万円未満の場合、以下のように掲載されています。
| 項目 | 料金 |
| 月額顧問料 | 20,000円 |
| 決算料 | 120,000円 |
| 年間合計 | 360,000円(税抜き) |
こちらは自分で計算しなくても、年間の費用をすぐに確認できます。
両事務所ではサービス内容や追加料金の条件が異なるため、金額だけで優劣は判断できません。
ここで注目したいのは、必要な情報を掲載していることと、お客様が簡単に理解できることは別だという点です。

C事務所|自社に近い契約事例で費用がイメージしやすい
C税理士事務所では、業種・年商・社員数・面談頻度などを設定した、具体的な料金事例を掲載しています。
例えば、次のようなケースです。
| 項目 | 掲載内容(再現例) |
| 業種 | 小売業 |
| 年商 | 3,000万円 |
| 社員数 | 4名 |
| 帳簿入力 | お客様が担当 |
| 面談頻度 | 3か月に1回 |
| 顧問料 | 月額30,000円 |
| 決算・法人税申告 | 180,000円 |
| 消費税申告 | 30,000円 |
| 年間合計 | 570,000円(税抜) ※年末調整報酬は別途 |
このように具体的な条件があると、お客様は自分の会社と照らし合わせて考えられます。
「うちは年商も社員数も近いから、これくらいの費用になるのかな」
「帳簿入力もお願いしたら、もう少し高くなるんだろうな」
このように金額だけの料金表よりも、実際に契約したときの費用とサービス内容を想像しやすくなります。
すべての会社の料金事例を掲載する必要はありません。
小規模法人、成長中の法人、記帳代行を依頼する法人など、条件の異なる事例が数件あるだけでも、お客様にとって参考になります。
D事務所|高い料金でも納得できる理由があれば選ばれる
今回、特に印象に残ったのがD税理士法人の料金案内です。
この事務所は、自社の料金が業界最安値ではないことを明言しています。
そして、その理由として、公認会計士や税理士がお客様に直接関わる時間を十分に確保し、専門的な支援を提供するためだと説明しています。
これは重要な見せ方だと感じました。
単に「顧問料は月額5万円です」と書かれているだけでは、月額2万円の事務所と比べたときに、高いという印象が先に来ます。
しかし、専門家がどの程度関与し、どのような相談や支援を受けられるのかが分かれば、話は変わります。
お客様が求めているのが最低限の申告業務であれば、安いプランで十分かもしれません。
一方、日常的な経営相談や、専門家による継続的なサポートまで求めているなら、それに見合った料金を支払う価値があると判断する人もいるでしょう。
安いから選ばれる、高いから選ばれないという単純な話ではありません。
その料金で何をしてもらえるのか。
その違いが分からなければ、お客様は金額で比較するしかありません。
逆に言えば、提供するサービスの価値をきちんと説明することは、価格だけで比較されないためにも重要です。
ちなみに、この事務所では、以前は個別見積もりで対応していたものの、お客様から「問い合わせる前に詳しい料金を知りたい」という要望があり、HPに料金表を掲載するようになったと説明しています。
料金を公開することが、お客様の判断を助けるという実際の良い事例でもあります。
納得して問い合わせてもらえる料金案内にするには?
ここまでの事例を踏まえると、料金ページで重要なのは次の3つです。
- 年間費用の目安
- 受けられるサービス
- 料金が変わる条件

1. 年間でいくらかかるのか、目安を示す
税理士の顧問契約では、毎月の顧問料以外に決算料や申告料などが発生することがあります。
そのため、月額料金だけでなく、年間でどの程度の費用になるのかを示すことが重要です。
正確な金額は個別見積もりでも構いません。
例えば、一般的な契約条件に基づいた年間費用の例を掲載すれば、お客様は予算に合うか判断しやすくなります。
2. その料金で何をしてもらえるのか説明する
料金と一緒に、サービス内容も確認できるようにします。
例えば、同じ月額3万円でも、
「年に数回の面談と税務申告が中心」
あるいは
「毎月の面談や経営相談まで含まれる」
などという違いがあれば、お客様が感じる価値も変わります。
記帳代行、決算申告、相談対応など、何が料金に含まれていて、何が別料金なのかを明確にすることが重要です。
3. 料金が変わる条件を示す
年商、面談頻度、取引量、記帳代行の有無など、料金が変わる主な条件も説明しておきます。
そうすれば、お客様は「なぜ自分の会社は最低料金より高くなるのか」を理解しやすくなります。
すべての料金パターンを掲載する必要はありません。
料金表だけで伝えきれない場合は、具体的な契約事例を掲載する方法もあります。
条件を選んで概算を確認できる料金シミュレーターを設置している事務所もありますが、そこまでの仕組みが必須というわけではありません。
この3つが分かれば、お客様はある程度の予算と希望を持ったうえで問い合わせできます。
事務所側も、お客様の想定予算と実際の見積額が大きく食い違う状況を減らせます。
お客様が費用に納得したうえで問い合わせできるようになれば、問い合わせへの心理的なハードルが下がります。
さらに、事前に料金への理解があるため、商談で想定外の金額を提示されて失望することも減らせます。
つまり、料金の見せ方を改善することは、問い合わせ率だけでなく、契約率の向上にもつながる可能性があるのです。
集客導線研究所では、ホームページやGoogleマップ、ブログ、SNSなどを初めてのお客様の視点で確認し、問い合わせまでの流れを診断しています。
まとめ
税理士事務所の料金案内で大切なのは、単に最低料金や月額顧問料を掲載することではありません。
お客様が自分の場合の費用をイメージでき、その金額で受けられるサービスに納得できることです。
すべての料金を細かく公開する必要はありません。年間費用の目安や具体的な契約事例、サービス内容を分かりやすく示すことから始められます。
「詳しくはお問い合わせください」だけで終わらせず、納得して問い合わせてもらえる料金案内を目指しましょう。

