税理士事務所を調査していると、実績が豊富な事務所に数多く出会います。
- 著書を出版している
- TVや新聞、雑誌などのメディアに出演している
- 講師としてセミナーに登壇している
こうした実績を見ると、「実務経験も知識も豊富な先生なんだろうな」と感じます。
しかし、今回色々な税理士事務所を調査していて、気になることがありました。
せっかくの実績が、十分に活かされていない事務所が意外と多かったことです。
実績が少ないという意味ではありません。
むしろ逆です。
実績は十分にあるのに、その実績がユーザーにきちんと届いていない事務所が多いということです。
だからこそ、「もったいない」と感じることが多かったのです。
今回は、実際に調査した税理士事務所をもとに、その理由を詳しく見ていきます。
同じように実績が豊富でも、見せ方でこんなに違う
今回調査した中でも、特に対照的だった2つの税理士事務所を比較します。
どちらも著書やメディア出演、講師などの実績が豊富ですが、ホームページでの見せ方には大きな違いがありました。
下の画像は、それぞれのホームページで実績がどのように紹介されているかを再現したものです。

同じように豊富な実績があっても、見せ方によって受ける印象は大きく変わります。
この違いを考えるうえで、まず知っておきたいのが、実績が「信頼」に変わるまでの流れです。
実績が「信頼」に変わるまでの流れ
実績は、ただホームページに掲載すれば良いわけではありません。
まず実績があることに気付いてもらい、それが信頼につながって、初めて問い合わせを後押しする材料になります。
逆に、画像がなかったり、文字が小さすぎたり、見つけにくい場所に掲載されていたりすると、せっかくの実績が信頼材料として十分に活かされません。
今回調査した税理士事務所でも、この「実績の見せ方」に大きな違いがありました。

実績の見せ方が上手い税理士事務所
良かった点① 著書の紹介方法が理想形
今回調査した中で、実績の見せ方が最も印象的だった事務所の一つです。
まず目に入ったのは、サイドバーに画像付きで掲載された著書でした。
著書一覧ページも設けられていました。そこに各著書の簡単な紹介文があり、しかもAmazonや楽天へのリンクまで設置されており、そのまま口コミまで確認できるようになっていました。
これは非常に良い工夫です。
私も実際に口コミを読んでみました。
「実際に税理士へ相談する際に役立った」
「分かりやすい」
といった口コミがありました。初めて相談する人は、税理士の知識や実力を判断できません。
しかし、本を読んだ人の口コミは第三者の評価です。こうした第三者の評価を見るだけでも、安心材料になります。
単に「著書があります」や著書名を載せるだけではなく、その価値まで自然に伝えている点は、初めてホームページを訪れた人にはとても参考になります。
著書の紹介は決して珍しいわけではありませんが、ここまでやっている事務所はかなり少ないです。
良かった点② 著書やメディア出演の情報公開が徹底され、20年以上継続
この税理士事務所は著書のほか、TV、雑誌、ラジオ、新聞などの実績も種類ごとに整理していました。さらに、出演時の写真や記事など、実績を確認できる資料も細かく掲載されていました。
例えば著書では、出版社、出版日、本の価格、紹介文まで掲載されています。
私が特に驚いたのは、20年以上にわたって情報を公開し続けていることです。
長年これだけの実績を積み重ね、現在も更新を続けていることから、多くの相談や依頼を受けている事務所なのではないかと感じました。
今でもこうして実績や活動内容を継続して公開されていることは、大きな信頼材料になります。
税理士という職業は、正確さや信頼性が求められます。
そのイメージ通り、証拠となる資料まで添えて20年以上情報を公開し続けている姿勢に、私は強い信頼感を覚えました。
良かった点③ いつ・どこで講師を務めたのか確認できる
この事務所では、代表がいつ・どこで講師を務めたのかを、現在から過去に遡って確認できるようになっていました。
私が良い発信方法だなと感じたのは、単に
「講師を務めました」
「講師経験あり」
と書いて終わりではなかったことです。
開催場所や日時、テーマまで掲載されており、いつ・どこで・何を話したのかが分かります。
しかも、それが20年以上にわたり積み重ねられていました。
一度だけ講師を務めた実績ではなく、長年継続して依頼されていることが伝わり、初めて相談する人にとっては大きな安心材料になると感じました。
ただ単に
「講師を務めました」
「講師経験あり」
とだけ書かれていても、どのようなセミナーだったのかまでは分かりません。
しかし、A事務所では開催場所やテーマまで公開されているため、相談者自身が実績を確認できます。
ここまできちんと情報を公開し、それを長年継続しているのは、税理士業界に限らず多くの事業者のお手本となると思います。
総評
総じて、私はこの税理士事務所は、SEOやデザインなどの技術だけではなく、ホームページを訪れる人にどう伝わるかも大切にしながら運営しているように感じました。
だからこそ、著書も、メディア出演も、講師実績も、ただ単に「〇〇あります」と伝えるだけではなく、
初めて相談する人が安心できるような見せ方になっていたのだと思います。
今回調査した中でも、実績の伝え方という点では特に参考になる税理士事務所でした。
実績は豊富なのに、見せ方がもったいない税理士事務所
次に紹介する税理士事務所も、長年にわたって活動を続けている事務所です。
ホームページやブログを調べてみると、著作だけでなく、税務関係の専門誌や雑誌などへの執筆・掲載実績も多数確認できました。
さらに現在もホームページの最新情報は頻繁に更新されており、セミナーなどの活動も続けています。
つまり、決して実績が少ない事務所ではありません。
むしろ今回調査していて、
「これだけ実績があるのに、なぜもっと分かりやすく見せないのだろう?」
と最も強く感じた事務所でした。
A事務所も、B事務所も、長年にわたって活動を続け、著作や外部媒体への掲載、講師活動などの実績を積み重ねています。
ところが、ホームページを訪れた人への伝わり方には大きな違いがありました。
もったいない点① 実績の掲載場所が分かりにくい
これが一番もったいなかった点です。
B事務所の実績は、分かりにくい場所に掲載されていました。具体的には、事務所紹介のようなページを下へ進んだ先にあります。
B事務所は実績の量が多いので個別にページを設けるなり、トップページに掲載するなどした方が、初めてホームページを訪れた人は見つけやすいです。
私は調査のためにホームページを見ているので隅々まで確認するのですが、一般のユーザー(訪問者)は数秒あるいは数十秒見て、得られるものがあまりなければすぐにホームページから出て行ってしまいます。
なのでユーザーにとって重要な情報ほど、見つけやすく掲載することが重要なのです。
実績の掲載場所が分かりにくいと、せっかく素晴らしい実績があっても見てもらえません。
「見てもらえない=実績が無い」のと同じということになってしまいます。
もったいない点② 実績は多いのに「何の実績なのか」が分かりにくい
次にもったいなかったのは、実績の種類が整理されていない点です。
B事務所では、著書や雑誌への寄稿、取材・インタビューなど、さまざまな実績が紹介されています。
しかし、初めて見る人からすると、
- 本人が書いた著書なのか
- 雑誌や専門誌へ寄稿した記事なのか
- 取材やインタビューを受けた記事なのか
といった違いが分かりにくい状態でした。
どれも十分な実績ですが、実績の種類によって伝わる内容は違います。
著書が何冊もあれば、専門家として本を出版してきた実績が分かります。
雑誌や専門誌への寄稿が多ければ、長年にわたって専門知識を発信してきたことが分かります。
取材やインタビューの実績があれば、外部から税の専門家として意見を求められてきたことが分かります。
だからこそ、すべてをバラバラに掲載するのではなく、「著書」「寄稿」「取材・インタビュー」など、実績の種類ごとに分けて整理するだけでも、
「この先生は本も出版しているし、専門誌への寄稿や取材実績も豊富なんだ」
ということが、初めてホームページを訪れた人にも理解しやすくなると思います。
もったいない点③ せっかくの実績が小さすぎて読めない
もう一つ気になったのが、実績の見せ方です。
B事務所では、本や雑誌などの実績が画像付きで掲載されています。
ところが、本や雑誌の画像や、その下に書かれているタイトルの文字サイズがかなり小さく、普通に画面を見ても内容を確認するのは困難でした。
そして重要なのが、このB事務所は相続や遺言などの情報を多く発信していたことです。ホームページ全体を見る限り、比較的年齢の高い人が訪れることが想定されているように感じます。
それにもかかわらず、信頼材料となる実績が、若い人でも読みにくいほど小さく表示されているのです。
せっかく掲載しているのに、見てもらいにくい状態になっているのです。
「画面を拡大すれば良いだけじゃないの?」
と思った人もいるでしょう。
はい、その通りです。私はそれができますし、あなたもできるでしょう。
しかし、年齢の高い人ほどスマホの操作に不慣れな人も多く、画面を拡大してまで確認しない人や、そもそも拡大方法が分からない人もいるでしょう。
そういった人たちをメインターゲットにしているなら、なおさら最初から見やすく掲載することが重要です。
もったいない点④ 画像サイズがバラバラ
また、ホームページに掲載されている本や雑誌は、その掲載方法にも問題がありました。
本によって画像サイズも位置もバラバラだったのです。
細かな違いですが、一覧で並べたときに大きさが揃っていないと、どうしても見づらく感じます。せっかく多くの実績を掲載するなら、画像サイズを揃えるだけでも、ずっと見やすくなります。
つまり見てもらえる確率が上がるわけです。
こうした小さな違和感を減らし、できるだけストレスなく情報を見てもらえる状態にすることも、ホームページやブログでは重要です。
もったいない点⑤ 実績の詳細リンクがなく、自分で探さなければならない
また、リンクが無い著書が多かったのも、もったいないと感じました。
実績を掲載するだけでは、その価値が十分伝わるとは限りません。実績は、その詳細や裏付けまで確認できることで、さらに信頼につながります。
例えば、ある雑誌への寄稿実績を見て、
「どんな記事を書いたんだろう?」
と思ったとします。
そこにリンクがあれば、そのまま詳しい内容が確認できます。
逆にリンクが無いと、興味を持った人がいても、その場で詳しい内容を確認できません。
つまり、リンクがないと自分で検索しなければなりません。
想像してみてください。一旦ホームページを離れ、AmazonやGoogleなどで検索し、雑誌名、著者名、掲載時期などを確認しながら探すことになります。
そこまでして調べる人が、どれだけいるでしょうか。
ほとんどの人は、
「何かいろいろ実績があるんだな」
くらいで終わってしまいます。
これは実績が弱いからではありません。
実績の価値を理解するための作業を、ユーザー側に任せてしまっていることが問題なのです。
これではユーザーに余計な手間をかけさせてしまいますし、信頼獲得のチャンスを逃してしまいます。
A・Bを比較すると「実績の伝わり方」の違いがよく分かる
ここまで調べて、私はA税理士事務所とB税理士事務所との違いが非常に興味深いと感じました。
両事務所とも、長年活動を続けており、著作や外部媒体への掲載、講師活動などの実績があります。
ところが、その実績を初めてホームページを見る人にどう届けているかには、大きな違いがありました。
| 比較するポイント | A税理士事務所 | B税理士事務所 |
| 実績の整理 | 著書・TV・雑誌・ラジオ・新聞・講師などが整理されていて何の実績なのか分かりやすい | 著作・寄稿・掲載などが整理されておらず何の実績なのか分かりにくい |
| 著書の見せ方 | 表紙画像付きで目に入りやすい | 文字が小さく画像サイズもバラバラで内容を確認しにくい |
| 詳細情報 | 出版社・出版日・紹介文などを掲載 | 詳細情報が無いものが多く、情報があっても一目では内容や実績の種類が分かりにくい |
| 外部へのリンク | Amazonや楽天などへ1クリックで移動できる | リンクがないものがほとんど |
| 第三者評価 | Amazonなどの口コミまで確認できる | 自分で検索しなければ確認できないものがほとんど |
| 長年の実績 | 20年以上の活動を確認できる | 長年にわたる著作・執筆・講師などの活動を確認できる |
| 初めて見る人の負担 | 実績の価値を理解しやすい | まずそもそも実績にたどり着けない可能性がやや高い。実績を見つけても、その内容や価値を自力で調べたり想像して読み解く必要がある |
こうして並べてみると、重要なのは実績の数だけではないことがよく分かります。
B税理士事務所にも、長年積み重ねてきた実績があります。現在も情報を更新し、活動を続けています。
それでも、その実績が
- 分かりにくい場所に掲載されている
- 小さすぎて内容を確認しにくい
- 何の実績なのか分かりにくい
- 詳細を確認するためのリンクがない
といった状態では、初めて訪れた人には本来の価値まで伝わりません。
一方のA税理士事務所は、実績をただ掲載しているだけではありません。
- 何をしたのか
- どんな実績なのか
- 詳しく知りたい人はどこを見ればいいのか
まで用意されています。
今回この2つの事務所を比較して、
同じように長年積み重ねてきた実績でも、
「持っている実績」と「相手に伝わる実績」は同じではない
ということが、非常によく分かります。
まとめ
「たかが著書や実績の掲載方法くらいで細かいな」
と感じた方もいるかもしれません。
しかし今回比較した事務所を見ると、同じように長年積み重ねてきた実績でも、
見せ方によって伝わり方は大きく違いました。
新しい実績を作ることだけが、信頼を高める方法ではありません。
- すでに著書がある
- メディアに掲載されたことがある
- 専門誌へ寄稿している
- 講師として呼ばれている
そうした実績をすでに持っているのであれば、まずは今ある実績が、
初めてホームページを訪れた人にきちんと届いているか
を確認してみてください。
せっかく積み重ねてきた実績です。
「実績があります」と一言で終わらせるのではなく、その価値まで伝わる状態にする。
それだけでも、初めて相談する人が感じる信頼や安心感は変わります。

