前回の記事「情報量が多いのに読まれない税理士事務所HPの特徴」では、複数の税理士事務所のホームページを見比べたところ、情報量が多いこと自体が問題ではないことが分かりました。

情報がたくさんあっても、次々と読みたくなるホームページがあります。
反対に、良い情報がたくさんあるのに、途中で「もう見るのをやめたい」と感じるホームページもありました。
両者の大きな違いは「見せ方」です。
では、具体的にどのような見せ方なら読みやすく、どのような見せ方だと読むのがつらくなるのでしょうか。
今回は、これまで税理士事務所のホームページを実際に見てきて感じた「良い見せ方」と「悪い見せ方」を整理していきます。
実際に「良い見せ方・悪い見せ方」を比べてみる
例えば、次の2つのホームページを見てください。

どちらが見やすいでしょうか。
おそらく、左側(良い見せ方)のホームページと答える人が多いと思います。
右側(悪い見せ方)にも、サービスや料金、お知らせ、代表税理士の紹介など、お客様にとって必要な情報はたくさんあります。
しかし、見た瞬間に、
「うわっ、情報が多い……」
と感じませんか。
さらに、
「この中から自分の知りたい情報を探すのか……」
となると、それだけで読むのが少し面倒になります。
一方、左側にもさまざまな情報がありますが、右側ほど読むことに負担を感じません。
同じように情報が掲載されているのに、なぜこれだけ印象が違うのでしょうか。
ここから、実際に税理士事務所のホームページを見て感じた「良い見せ方・悪い見せ方」を具体的に見ていきます。
デザインに偏り過ぎない
税理士事務所に限らずホームページを調査していて、よく目にするのがデザインを重視し過ぎているホームページです。
依頼者と制作業者で「ああでもない、こうでもない」と一生懸命作ったのは伝わってくるのですが、主役であるはずのお客様が置き去りにされているホームページは非常に多いです。
ホームページはデザイン(“かっこよさ”)にお金をかけたからといって、お客様をたくさん連れてきてくれるわけでもなければ、読みやすくなるわけでもありません。
デザインよりも重要なのは訪問してくれた人がいかにストレスなく読み進められるか、ほしい情報にたどり着けるかです。
まずは、ここに焦点を合わせてホームページを作る制作業者を選ぶことをお勧めします。
文字が小さく、読むだけで疲れる
ホームページを見ていてストレスを感じさせるのが、文字の読みにくさです。
特に、
- 文字が小さい
- 文字が細い
- 背景と文字の色が近い(例:白い背景に明るい黄色の文字)
- 強調する文字が多すぎる
- 文字の色や大きさがバラバラ
- 文字が潰れて読めない
といった状態が重なると、文章の内容以前に「読むこと」そのものが負担になります。
せっかく実績やサービスについて詳しく書いてあっても、読むのがつらければ、お客様にはその内容までたどり着いてもらえません。
良い見せ方
大切なのは、凝った文字を使うことではありません。
普通に読んでいて文字の大きさや色を意識しないくらい、自然に読める状態です。
伝えたい部分だけ大きくしたり太くしたりして、それ以外は読みやすさを優先する。
それだけでも、お客様が受ける負担はかなり変わります。
改行がない長い文章

伝えたいことが多いほど、文章は長くなります。問題は、長いことそのものではありません。
長い文章が改行や見出しも少ないまま続いていると、
「これを全部読むのか……」
という気持ちになります。
特に税金や経営についての文章は、内容そのものが難しくなりやすいため、文章の見せ方まで難しくするとさらに読む負担が増えます。
例えば税の知識のない人に対し、難しい税金の話がページの横いっぱいに書かれ、それが7行、8行と続いていたらどうですか?
読みたいと思うでしょうか?
良い見せ方
文章が長くなるなら、
- 適度に改行する
- 内容ごとに段落を分ける
- 見出しを入れる
- 箇条書きを使う
- 特に重要な部分が分かるようにする
など、途中から見ても内容を追えるようにします。
最初から最後まで一文字ずつ読まなくても、見出しを追えば「何について書かれているのか」が分かる。
この状態なら、興味のある部分だけ詳しく読むこともできます。
欲しい情報にたどり着けない
料金、サービス内容、実績、お客様の声、スタッフ紹介、ブログ。
必要な情報をしっかり掲載していても、それがどこにあるのか分からなければ、お客様にとっては探すところから始まります。
実際にホームページを見ていると、
「料金はどこだろう」
「このサービスについて詳しく知りたいけど、どこを見ればいいんだろう」
と探すことがあります。
一度ならそれほど負担ではありません。
しかし、何かを知りたいたびに探さなければならない状態が続くと、少しずつ面倒になってきます。
良い見せ方
情報が多いホームページほど、整理することが重要です。デザイン性(かっこいいかどうか)よりも、私はこの整理が重要だと常にクライアントに伝えています。
例えばサービスが多いなら、すべてを同じ場所に並べるのではなく、内容や目的ごとに分ける。
料金、実績、お客様の声なども、初めて見た人が迷わず見つけられる場所に置く。
お客様自身に情報を探してもらうのではなく、知りたい情報へ自然にたどり着けるようにするという考え方です。
何もかもが目立っている
ホームページで伝えたいことは山ほどあります。
- 自社の強みも伝えたい
- 実績も見てほしい
- サービスも知ってほしい
- 料金も説明したい
- 問い合わせもしてほしい
その結果、これらすべてにおいて文字を大きくしたり、色を付けたり、太字にしたりすると、逆にどこを見ればいいのか分からなくなります。
全部が目立つと、何も目立たなくなります。
それだけでなく、どこが本当に重要なのかを何度も考えさせるため、読者に大きなストレスを与えてしまいます。
良い見せ方
重要度によって見せ方に差をつけます。
例えば、
- ページのタイトルや一番伝えたいことは大きくする
- 見出しと本文の文字サイズに明確な差をつける
- 太字や色を使うのは、本当に読んでほしい部分に絞る
- 補足説明は本文より少し控えめにする
- ボタンは周囲の文章と区別し、「問い合わせ」「詳しく見る」など次の行動がすぐ分かるようにする
- 同じ重要度の情報は、文字サイズやデザインを揃える
例えば、見出しも本文も「実績」も「料金」も「問い合わせボタン」も、すべて同じように目立っていたら、どこから見ればいいのか迷います。
反対に、
大きな見出し → 要点 → 詳しい説明 → 次に進む場所
というように重要度が見た目にも表れていれば、お客様はそれほど考えなくても自然に読み進められます。
「まずここを見ればいいんだな」と、お客様自身に毎回判断させないことが大切です。
専門家には分かるが、お客様には難しい
税理士事務所のホームページなので、税金や会計について説明する以上、専門的な内容が出てくるのは当然です。
問題は、その説明が税理士側の言葉だけになっている場合です。
専門用語が続いたり、一つの文章に多くの情報が入っていたりすると、税金に詳しくない人は内容を理解するだけで疲れてしまいます。
情報が詳しいことと、分かりやすいことは別です。
税の知識が無い人でも理解できるように工夫することが重要です。
良い見せ方
専門用語をすべて無くす必要はありません。
必要な専門用語を使いながら、以下のような点に気を付けると良いです。
- 「つまり、どういうことなのか」を普通の言葉でも説明する
- 専門用語を初めて使うときに、その意味を簡単に説明する
- 実際のお客様を想定した具体例を入れる
- 数字を使って具体的に説明する
- 複数の制度や選択肢は表で比較する
- 手続きや相談の順番は図で見せる
- 長い説明の前に、まず結論を書く
- 「どんな人に関係する話なのか」を最初に示す
例えば「青色申告特別控除」について詳しく説明する場合でも、制度の説明から始めるのではなく、
個人事業主の方で、一定の条件を満たせば所得から最大65万円を差し引ける制度です。
のように、まず「自分に関係があるのか」「何が変わるのか」が分かれば、その後の詳しい説明も読みやすくなります。
税理士が読んで分かる文章ではなく、税金に詳しくないお客様が読んで分かるかを基準にします。
難しい説明が続く部分では、税理士の顔写真やイラストを使った吹き出しで「つまり、こういうことです」と補足する方法もあります。
難しい内容で緊張した読者の心をほぐしたり、文章が続く中で要点を目立たせたりできます。また、税理士本人が説明しているような親近感も出せます。
〇〇税理士個人事業主の方で、一定の条件を満たせば所得から最大65万円を差し引ける制度です。
画像や図が、かえって読みにくくしている
画像や図を入れれば、必ず分かりやすくなるわけではありません。
画像が大きすぎたり小さすぎたり、画像内の文字が読めなかったり、文章との関係が分からなかったりすると、逆に読む流れを止めてしまいます。
何となく見栄えを良くするためだけに画像を増やしても、情報がさらに増えるだけです。
良い見せ方
画像や図は、
文章だけでは理解しにくいものを、分かりやすくするために使う。
例えば、
- サービスを利用する流れ
- 相談から契約までの流れ
- 複数のサービスの違い
- 複雑な制度の仕組み
などは、文章だけで説明するより図にした方が理解しやすいことがあります。
ただなんとなく画像を入れてはいけません。
画像を入れること自体を目的にせず、「この画像があることで理解しやすくなるか」で判断します。
良いホームページは、お客様に頑張って読ませない
ここまで挙げた内容を見ると、良い見せ方には共通点があります。
それは、
お客様に頑張って読んでもらわなくてもいい状態になっていることです。
- 文字は普通に読める
- 何が書いてあるのかすぐ分かる
- 知りたい情報が見つかる
- 興味があるところは詳しく読める
- 必要のないところは飛ばせる
- 難しい内容も理解できる
そして疑問が解決したら、次に知りたい情報へ進める。
こうしてお客様を自然に導いてくれるホームページであれば、情報量が多くても大きな負担にはなりません。
逆に、読む、探す、理解するという作業をすべてお客様側に任せると、一つひとつは小さな問題でも、それが積み重なって、
「もういいや」(結果 ➡ HPから離脱)
につながります。
まとめ
税理士事務所のホームページで大切なのは、情報をただきれいに並べることではありません。
お客様が知りたい情報を見つけ、理解し、次へ進みやすいように見せることです。
- 良い実績があっても、読まれなければ伝わらない
- 詳しいサービス説明があっても、見つけてもらえなければ意味がない
- 専門性が高くても、理解してもらえなければ、その価値は伝わらない
そして、ここまで紹介してきた「良い見せ方」には、すべて共通点があります。
お客様の立場から考える「顧客視点」です。
ホームページは、「かっこいいかどうか」といった単なるデザインだけでなく、持っている情報をお客様にきちんと届けるために「顧客視点」で考えることが重要なのです。

