税理士事務所を探していると、長く続いている事務所をよく見かけます。
創業30年、40年、50年。
これだけ長く続いていることは、本来なら大きな実績です。
長年にわたって顧客から選ばれ、さまざまな会社を見てきた経験もあるはずです。
一方で、ホームページを見た瞬間に、
「昔ながらの事務所なのかな」
と感じてしまうこともあります。
顧客心理で率直に言えば、
「ここ、ホームページからしていかにも古いな。依頼して大丈夫かな?」
と不安に思う人も多いのではないでしょうか。
特にITやWebなど比較的新しい分野で事業をしている経営者やそういった分野を取り入れようと考えている経営者なら、
「自分たちの事業を理解してもらえるだろうか」
「クラウド会計やAIの話は通じるだろうか」
「今の時代に合ったアドバイスをもらえるだろうか」
と不安になることもあるかもしれません。
つまり、長い歴史は信頼につながる一方で、見せ方によっては「古い」という印象にもつながります。
今回いくつかの税理士事務所を調べていて、その違いを強く感じる2つの事務所がありました。
創業約50年!実績は申し分ないのに「古い」と感じた税理士事務所
一つ目は、創業約50年の税理士事務所Aです。
長い歴史があるだけではありません。
全国規模の表彰で高い評価を受けるなど、非常に強い実績を持っています。
ホームページを詳しく見ていくと、経営計画の策定支援や創業支援など、経営者を支えるための情報やサービスも数多く掲載されています。
決して、昔ながらの税務だけを行っている事務所ではありません。
それでも、最初にホームページを見たとき、私は少し違う印象を受けました。
「昔ながらの税理士事務所なのかな」
というのが最初に見た時の印象です。
ホームページ全体のデザイン、文字の見せ方、情報量、写真など、いくつもの要素が重なって、少し古い印象を受けました。
特に、昔ながらの印象を受けるデザインや写真、文字が多く情報が詰まったページなどが目につきました。
その結果、
「最近のITを使った事業にも対応できるのだろうか」
という不安まで感じてしまいました。
ところが、詳しく見ていくと、新しいサービスを取り入れていることも分かります。
つまり、問題は事務所そのものが古いことではありません。
新しいことをしていないのではなく、それが伝わるより先に「古そう」という印象を持ってしまったのです。
これは非常にもったいないと感じました。
創業50年以上なのに、まったく「古い」と感じなかった税理士事務所の事例
一方、まったく逆の印象を受けた事務所があります。
税理士事務所Bです。
B事務所も決して新しい税理士事務所ではありません。
公式サイトでは、
創業50年以上にわたって続いてきた事務所であることを明確に打ち出しています。
それにもかかわらず、ホームページを見て私が感じたのは「古い」ではありませんでした。
むしろ、
「今の時代に強そうな税理士事務所」
というのが第一印象でした。
ホームページは非常に見やすく、情報も整理されています。
ブログも継続して更新され、公開日だけでなく更新日も確認できます。
(※法律と密接に関係がある税理士のブログは公開日と更新日が他の業種よりも重要になります)
さらに、サービスを見るとクラウド会計やDXへの対応を前面に出しています。
クラウド会計の導入支援実績は数百件。中小企業のデジタル化やDX化を支援し、経理DXではクラウドやAIの活用まで打ち出しています。
社員も半数以上が20代・30代と説明されています。
こういった情報を見ていると、「時代遅れ」という意味での「古さ」は全く感じませんでした。
つまり、単に「AI」「DX」と書いているだけではありません。
ホームページの見せ方、継続した情報発信、提供しているサービスなど、実際に目にするさまざまな部分から「今の時代に対応している事務所」という印象を受けました。
ここまで徹底して情報の発信や見せ方に力を入れているところを見ると、B事務所はホームページやSNSをかなり重視していることが分かります。
それは単に情報をネット上に置くのではなく、
きちんとアクセスした人に届ける
ことを大事にしているということだと思います。
面白いのは「古さ」を隠していないこと
ここで面白いと思ったのが、B事務所は50年以上という歴史を隠して、
若い税理士事務所のように見せているわけではない
ことです。
むしろ、歴史をしっかり見せています。
B事務所自身も、
先代から続く顧客からの信頼や伝統を守りながら、クラウド会計や経理DXなど新しいことにも挑戦している
と説明しています。
その背景には、従来の会計事務所という枠だけでは中小企業経営者の課題を満たせないと考え、税務・会計だけでなく、中小企業の成長を支援する企業へ進化していくことを説明しています。
ここまで見て、一つ気づいたことがあります。
歴史の長い税理士事務所だからこそ、「最先端」との組み合わせが強烈な差別化になるのではないか。
ということです。
「古い」を逆手にとって「歴史」という武器に変える

新しくできた税理士事務所が、
「クラウド会計に強い」
「AIを活用しています」
「DXを支援します」
と打ち出していても、それほど意外ではありません。
一方で、
50年以上の歴史がある事務所が、
AI・DX・クラウド会計にも強い。
となると印象は大きく変わります。
長年積み上げてきた経験がある。
昔からの顧客にも支持されている。
さまざまな経営環境の変化も経験している。
そのうえで、今の時代にも対応している。
さらに、自分たちが変化するだけではなく、顧客企業のDXや業務改善まで支援している。
これは、新しい税理士事務所には簡単には真似できません。
「歴史」と「新しさ」の両方を持っているからです。
つまり、長く続いていることを「古い」と感じさせてしまうのではなく、新しいことにも対応している姿を見せることで、その「古さ」を逆手にとって「歴史」という武器に変えることができます。
「古い税理士事務所」と「最先端」は相性がいい
今回2つの事務所を見比べて感じたのは、歴史の長さそのものが「古い」という印象を生むわけではないということです。
同じように50年以上の歴史があっても、伝わってくる印象は大きく違いました。
歴史の長い税理士事務所が、無理に若い事務所のように見せる必要はないと思います。
むしろ、50年以上続いているなら、その50年は新しい事務所にはない大きな財産です。
そこに、
「今の時代にも対応している」
が加わる。
今回B事務所を見て、私はこの組み合わせが非常に強いと感じました。
古い税理士事務所にとって、「最先端」は古さを隠すためのものではありません。
長い歴史があるからこそ、「最先端」と組み合わせたとき、それ自体が大きな武器になるのではないでしょうか。

